約20年のゲーム人生の中で、数々のハードを体験してきました。今回はその中から、僕が最も好きだったあのハードの歴史を紐解いていきたいと思います。
1987年。家電メーカーのNECは、当時家庭用ゲーム業界で一人勝ち状態だった任天堂が販売するファミコンの牙城を崩すべく、市場に新たなハードを投入しました。
そう、その名も『PCエンジン』。
任天堂のファミコンを遥かに上回る美麗なグラフィックとリアルなサウンドがウリでしたが、既に全国規模で浸透していたファミコンの座を奪うのは簡単なことではありませんでした。PCエンジンは商業的にはそれなりのセールスを残したものの、宿敵であるファミコンの普及台数を超えられなかったのです。
しかし、こんな事で負けを認めるNECではありませんでした。
1989年11月には、PCエンジンの拡張機能を一部削除して低価格に抑えた『PCエンジンシャトル』を発売。
そして12月には、デザインを改良してコントローラに連射機能を標準装備、ビデオ出力で画質がより鮮明になった『PCエンジンコアグラフィックス』を、さらにグラフィックチップを二つも搭載して画面表示能力が二倍となった『PCエンジンスーパーグラフィックス』を続けて発売しましたが、それでもファミコンの牙城を崩す事は容易ではありません。
・・・しかし、それでもNECはあきらめませんでした。
一方ファミコンを販売する任天堂は、いつでもどこでも好きな時に遊べる小型携帯ゲーム機『ゲームボーイ』を発売。
遅れをとってなるものかと、NECもPCエンジン用ソフトがいつでもどこでも遊べる携帯ゲーム機『PCエンジンGT』を発売しましたが、アルカリ電池六本で三時間程度しか遊べないためか、やはりセールス的には苦戦を強いられる事となりました。
そして1990年、任天堂は満を持してスーパーファミコンを発売。
PCエンジンが唯一ファミコンに勝っていた性能面でも、とうとう追いつかれてしまったのです。
しかし・・・NECはもう後には引けませんでした。
1991年6月、PCエンジンのマイナーチェンジ版であるコアグラフィックスをさらにマイナーチェンジした『PCエンジンコアグラフィックス2』を発売。
さらに9月にはPCエンジンの周辺機器であり、テレビアニメにも負けないくらいの表現をゲームで実現した『SUPER-CDROM2』とPCエンジンを一体化させた新型マシン『PCエンジンDuo』を続けて発売しましたが、それでも任天堂を超える事はできません。
もうどうしていいか分からなくなったのか、1991年12月、NECはPCエンジンにモニターをくっつけた『PCエンジンLT』を発売します。
本体は折りたたみ式で一応携帯ゲーム機ではありますが、バッテリを内蔵していないので外で遊ぶことができず、家で遊ぶんだったら普通のPCエンジンをテレビにつなげりゃ良いじゃないかという真っ当な意見をものともせず約10万円という高価格で投入しましたが、結果は言うまでもありませんでした。
そして1993年。とうとうヤケクソになったのか、NECは先程登場した『PCエンジンDuo』のマイナーチェンジ版である『PCエンジンDuo-R』を、そして一年後にはそれをさらにマイナーチェンジした『PCエンジンDuo-RX』を発売したものの、ついに最後の最後までセールス面で任天堂を超える事はできなかったのです。
・・・こうして『PCエンジン』と名のつくハードを10種類も発売したNECの野望は、儚く散っていく事となりました。しかし、『天外魔境2』『PC原人』などゲーム史に残る名作を次々と生み出し、多くのプレイヤーを魅了したのもまた事実。 最先端の技術をふんだんに使った上記のハードからは、他のハードでは感じられなかった「未来」の可能性を確かに感じる事ができたのです。
さて、2008年現在、NECから家庭用のハードは発売されていません。
もし、ここに登場したPCエンジンシリーズのうち一つでも爆発的に売れていれば、NECさんも調子に乗って今頃『PCエンジンウルトラマグナムギャラクティカスペシャル〜愛・おぼえていますか〜』を発売していたのではないかと思うと、残念でなりませんね。
嗚呼、マジでPCエンジン復活しないかなあ・・・


















